【評価 /10】
8点
【○】
---サイバーコネクトツー挑戦、自社タイトル最高傑作ナルティメットストーム、ジョジョASB、ドラゴンボールカカロットなどでお馴染みサイバーコネクトツーの自社タイトル。彼らのイメージはジャンプなどのIP作品を凄まじいクオリティでゲーム化する集団というイメージが一般的だと思うが、個人的には彼らが手がけるオリジナルIP作品の方が好きで、有名なのはアニメ化もしたRPG「.hackシリーズ」や、完全オリジナルシリーズのケモノ+重機の「テイルコンチェルト」「Solatorobo」など。
本作はそのシリーズの流れを汲むサイバーコネクトツーにとって原点でもあり自社開発販売の大勝負タイトルとなっているため年単位の延期をしてでもいいゲームにしているっぽかったので、気合の入れようは半端ない空気を感じていた。
結論、ぶっちゃけた話をすると彼らのIP作品はアートや演出は業界屈指というレベルだが遊びとしては物足りない。という印象を持っていた。本作は後者よりなのかな?と思いながらいざやってみたのだが「戦場のフーガ」はアート、ゲームシステム総合的に非常に洗練されていて個人的には彼らの最高傑作と言っても過言ではないと思っている。
・アート、世界観
暖かいタッチのかわいいケモノの子供達。ぞれぞれキャラクターが立っていて、表情の変化や仕草も細かくシナリオが進むたび彼らの事を知ってドンドン好きになる。余談だが、かの宮崎駿さんが一部関わっている「名探偵ホームズ」シリーズが好きすぎて性癖が曲がったケモナーおじさんなのでこのキャラクターデザインがたまらなく好き。巨大戦車の細かな動きや大砲の爆風エフェクトなどもかっこよくデザイン、背景全般的に素晴らしい。
世界観については、WW2を背景に感じるようなシビアな世界。かわいい子達が突然攻めてきた帝国軍と、謎の巨大な戦車で戦う事になるのだが問題はその戦車。こいつにはソウルキャノンという『子供の命』を代償にする見返りにどんな敵でも一撃で粉砕するという本当にとんでもない兵器で、ゲームを進めるほど子供たちが好きになって行くと言ったが、戦いもどんどんシビアになっていくので頻繁にソウルキャノンの選択がちらつく中プレイヤーは足掻く事になる。その何処ぞのヨコ○タロウ的容赦のない尖った設定のおかげで感情が強くゆさぶられる、可愛いケモノと容赦ない世界観のギャップがおもしろい。
・取捨選択の楽しさ、シンプルで奥深い戦闘
このゲームの根幹の遊び心地は全くのオリジナルではなくインディーの傑作で、AAAタイトルも含めて数多くのゲームに取り入れられている「Slay the Spire」のシステムや思想がベースに感じられる。
ゲームの流れは大まかに
シナリオパート→マップ攻略(スレスパ的ルート選択)→インターミッション(行動力をどう割り振るかのパズル的遊び)→戦闘
という感じになって行き、当然ゲームが進むほど選択が増え、判断が難しくなっていくのだが全体的に常にカツカツというが絶妙なバランスを選択する事になるのでとても好みのバランス感だった。
戦闘はweekを突くと相手の行動を遅らせるというペルソナ的基本のジャンケンルールを持ちつつも、たくさんいるキャラクターがそれぞれスキルを持っていて、その組み合わせや瞬間の最適な配置など複雑な戦略が走るので戦闘がとてもおもしろい。インターミッションもキャラの好みを叶えながら育てたいキャラクターや施設を育てて行くのだがそこもだらっとしたオマケ要素ではなく、絶妙なバランスの中で上手にパズルをやっているという感覚をプレイヤーに感じさせる上手い作りになっていて感心した。
シビア、難しいと言っているが、ルート選択で難易度の低い道を選んだり、回復アイテムを使ったり、最悪ソウルキャノンを撃つという判断をすれば誰でもゲームは進める事が出来るし、2週目強さ引継ぎでトゥルーエンドを楽に見に行くという仕組みもあるので幅広い遊び心地を提示出来ている。
これが彼らの25周年記念の3部作の1作目という話なのでこの後もとても楽しみ。
---価格このクオリティで定価が4000円前半なのでコスパがかなり良い。強くオススメする。
【×】
---理不尽な分岐最後までソウルキャノンを撃たずに1周約18時間くらい必死にプレイしても、とあるフラグを立てないとキャラが抜けてしまいバッドエンドになってしまう(個人的にはノーマルエンドというよりはバッドエンド)そこまでにそういう事が起こる可能性があるような選択肢による物語の分岐や仲間の加入離脱が起こったりしていれば別にいいのだが、唐突に1点だけそういった罠のような理不尽な仕掛けがされている。それを知った上でもう1周やってね?といわれてもさすがに気力が沸かない。あの展開を強制されるのはキャラクターを愛してそこまで頑張ったプレイヤーにとってかなりのストレスポイントなのでこれを強いられるのはさすがにやりすぎ。
もし、もう1周させるのであれば2週目は敵側やサブキャラクターの描かれなかったイベントをかなり追加するとか、かなりの変化や新しい体験を与えるくらいしないと割に合わない感覚(一応敵の強さが変わるのだがそれくらいだとさすがに…)こういう事をすると今後の作品もこういった罠を仕掛けてくるのかな?と不安になってしまう。これだけでマイナス1点。
---UI意図的だと思うが効果の%が曖昧だったり状態異常の効果がわかりづらかったり、協力必殺技が入れ替えで表示が消えて戻すときによくわからなくなったりとUI関連ではストレスを何度か感じたまま最後までいった。素材を上位にあげていくなども操作量が多いので一気にやりたい。
【点数のざっくりした基準】
10:神ゲー(完成度+独創性)
9:良作の一線を超える
8:良作
7:少々問題はあるが合格点
6:平凡だが十分遊べる
4~5:定価の価値はない (低クオリティ、バグ大、コンテンツ少)
0~3:これはヒドイ
テーマ:ゲーム - ジャンル:ゲーム
- 2021/08/17(火) 11:07:28|
- └PCゲーム
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