【評価 /10】
7点
【○】
---コンセプトとゲームデザインの美しい融合本作は永遠に繰り返す1日に捕らわれた場所『ブラックリーフ島』を舞台に、ループから脱出を目指す男『コルト』とそのループの世界の維持をしたい女『ジュリアナ』の二人の主人公を操作して戦うFPSアクションアドベンチャー。
対極する目的を持つ二人の主人公をどう操作するのか?については一番イメージが近いのはダークソウル。最初はコルトを操作してなぜ島がループに捕らわれているのか?の謎を追いながら手がかりを集め、死んで、また挑戦を繰り返して情報を集めループ脱出を図っていく、その過程でループ脱出を阻止する主人公ジュリアナが乱入してきてコルトの命を狙ってくるという流れになっている。プレイヤーがある程度コルトを遊んでいるとジュリアナを選んで遊べるようになり他プレイヤーに乱入する遊びが可能となる。もちろんシングルプレイモードも可能なのだが、ジュリアナがNPCになって乱入してくる形になる。こういったシンプルな設定と舞台を最大限に活かしている美しいコンセプトとゲームデザインが実現している素晴らしいゲーム。
遊びの部分については彼らの代表作である『ディスオナード』をかなりベースにしていて時間帯によってマップの様子が変わったり、敵の小さな会話から手がかりを得たり、マップの中で複数の攻略の選択肢があったり、スキルもそのまま輸入したものが多いためディスオナードファンにとってはすぐにしっくりくるゲームだと思う。個人的にはステルスアクションゲームではTOPクラスにディスオナードは面白いと思っているので安心感のある出来栄えだった。このゲームを凄くザックリいえばディスオナードの攻撃を銃ベースにして、ダークソウルの乱入システムが追加されたようなイメージ。
島の中にいる8人のターゲットを1日の間に全員始末する事が最大目標でありそれを達成するためにターゲットの行動を調査していくのだが適当にプレイしながら手がかりを得てジワジワと世界観やキャラクターの理解が進み、物語が進行してくのがおもしろい。プレイヤーが集めた情報がプレイヤーに負担をかけず、チャート表にしてくれてクエストアイコンを出してくれるのも親切でとても良い。
ループすると持っていたものを全て失うのが基本だが、ゲーム内で集めたポイントを消化して装備やスキルを保存できるのでRPG的成長が出来る。銃やスキルを拾って保存しながらキャラを強化する要素も良かった。
美しいグラフィックと不思議なキャラクターとデザイン、バトル時のおしゃれなBGM、Arkane Studiosの新しい挑戦は成功と言える。
【×】
---ディスオナードを遊んだ身としては物足りないとても良く出来ている、のだが、個人的にはディスオナード2の方が面白い。
1日の中でのステージ変化やシフトなどのスキルも完全にディスオナードからのコピーなので個人的にそれほど新鮮さがなかった。
何度も繰り返して調査をしていったりする部分はとても楽しかったのだが悪く言えば同じマップを繰り返すのでボリュームが少なく飽きてしまって新鮮味が薄れてしまう。
---コンセプトゆえの覆せない欠陥このゲームは1日を繰り返すゲームで朝、昼、夕、晩を通してすべてのターゲットを殺すのを目標としており途中にもう一人の主人公ジュリアナが乱入してくるというおもしろいコンセプトデザインが魅力。この大きな光の陰にしっかりとした闇の部分が出来ている。
アクションゲームは失敗した場合のリトライ性というのがかなり重要だと思う。PS5専用ソフトということでロードの速さはノンストレスなのだがこのゲームはコンセプトの関係で途中セーブが出来ないためそこを活かせていない。詳細に言うと夜やりたいミッションがあった時に小さなミスでもジュリアナが乱入してでもそれを失敗した場合、ディスオナードも含めて普通のアクションゲームなら挑戦のすぐ手前でコンテニューが出来るのだが、このゲームの場合はコンセプトゆえに途中セーブも出来ないため最速で3回死んで朝に戻る、そしてメニューから朝、昼、夕、夜まで時間を飛ばしてミッションに挑むためにスタート地点から現地に行く、というリトライにかなりの手間がかかってしまう。非常に尖った魅力を絶たせるために生まれてしまった解消できない欠陥を抱えている。途方もないストレスか?というとそんな事はないので大きく心配はしなくていいのだが知っておくべきポイントとして挙げた。
---プレイヤーキャラが強すぎるディスオナードに比べて主人公がかなり強いので押し切りが簡単で単調になってしまいがち。ディスオナファンは物足りなさがあったのかなと思う。
---オンラインは面白いが…ソウルライクなPVPまわりについてはおもしろいのだが、少し残念な感想。乱入側のジュリアナはNPCが味方になるし、アンテナというキラー側が待ちが確実に出来るなどかなり有利な設定になっている上、倒した恩恵より邪魔さ加減というかストレスの方が大きい気がしてストーリーを進めたいプレイヤーにとってはオンラインを切る選択になりやすいという状況が問題だと思う。
ちなみに恩恵は乱入者の装備やスキルなどが奪えるので良い点もあるのだが、受動側にとっては望んでないイベントとなりがちなので入られた方が有利かつ旨味があるようなポジティブよりなバランスにして入って来てくれた嬉しい楽しい殺すぞ!ってなるようなバランスの方が個人的には良いような気がした。結局オンラインを切るって出来ちゃったら過疎って盛り上がらないのでみんながこぞってオンにするくらいにしたほうが良いはず。オンライン乱入を切る事が出来るとはいえ、NPCのジュリアナが乱入してきて疑似的に楽しめるあたりは素晴らしい。
---わりとテキストが多い音声ファイルでもっと入れて欲しかった気持ちはある。
呼んでいる最中に消えてしまうヘルプも面倒に感じた。
【おまけ】
コンセプトやゲームデザインは素晴らしい。だか細かくやり込んでいくと不満もくっきりと浮いて来る。ディスオナードをやった人間にとっては物足りなさや焼き直しの部分が多くある。彼らのゲームは大好きなので全く新しいゲームの構築を見てみたい。
【点数のざっくりした基準】
10:神ゲー(完成度+独創性)
9:良作の一線を超える
8:良作
7:少々問題はあるが合格点
6:平凡だが十分遊べる
4~5:定価の価値はない (低クオリティ、バグ大、コンテンツ少)
0~3:これはヒドイ
テーマ:ゲーム - ジャンル:ゲーム
- 2021/10/21(木) 21:45:19|
- ├PlayStation 5
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