【評価 /10】
10点
【○】
美しく洗練されたゲームデザイン本作は師父(武術の師匠)である父親をかつての弟子達に目の前で殺された主人公が、復讐を誓って数年修行をし、その実行に移すという所から物語が始まる。
カンフー映画にはありがちなストーリー。だが過去の惨劇シーンを上手くチュートリアルと融合して導入にしている演出からこのゲームは別格に見せ方が上手い事がわかる。
操作は非常にシンプルで攻撃はボタン2つの組み合わせによるコンボ、防御はガード、パリィ、回避があり相手の攻撃に対して適切なものを選んで行く。本作の遊び感の基本としてイメージしやすいのはSEKIRO。同様に体幹ゲージのようなものが存在し、攻撃を受けを完璧にこなす事で相手の体力を一気に奪い去る事が出来る。SEKIROの防御行動が必殺に転じるという部分をさらにコンパクトに突き詰めたものが本作というイメージ。パリィで相手の攻撃を停止させて攻撃の主導権を取れる仕組みのおかげでスピーディーに決着がつくのも良い。
本作の最も面白い仕組みはローグライクな復活システム。
主人公は父親と同時に殺されたはずだったのだが謎のパワーを持つお守りによって復活しているのだが、作中でも敵に倒される度にその力で復活する。ただしその復活にも限界があって、死ぬたびに代償として少しずつ歳をとっていく。最初は1歳ずつ歳をとっていくのだが回数がますにつれて一気に数年歳を取り加齢死する年齢に達するとゲームオーバーになってしまう。加齢は悪い事ばかりではなく体力が減る変わりに攻撃力が増して行くので、極めたプレイヤーはあえて限界まで加齢した状態で相手の攻撃を全て受けきれるならば、最高の火力であっという間にクリアーする事も出来るという面白い仕組み。
カンフー映画の主人公になりきっていく圧倒的な没入感UIを限りなく取り去っており、ストーリーの表現も最小限で、ストイックに何度も挑み殺されながら相手の動きを覚え、最初はこんなのクリアできないよって難易度を軽々と進めるようになっていき、いつの間にか自分のプレイに酔って行き、あの映画スターのようにかっこよく戦いたいと魅せるように立ち回り、相手に手心を加える余裕すら生まれた時、主人公の心の変化とプレイヤーがシンクロしていき、真のエンディングにたどり着けるという素晴らしい設計にプレイヤーがまんまと乗って夢中で遊んでしまう。
【×】
成長感が腕前しかないレベルアップによって覚えるスキルにあまり価値がないのが勿体ない。
効果も見た目も地味なアクションが多く、もっと魅せ技みたいなプレイヤーが上手くなるほど実行できるかっこいい技だったり、難しくてクリアできない人でもこのスキルを使えばかなり遊びやすくなるみたいなスキルがあっても良かった。(フォーカスの目潰しはリアルで良いのだが、奥義っぽいのも欲しい)
人を選ぶストイックさ繰り返しにだれてしまうかハマるかというポイントはある。
ショートカットもあるとはいえステージ構成は同じで1ステージに時間がかかるゲームなので、上達感に夢中になって繰り返しなんて気にならないほど楽しんでいる人は問題ないが、何度も同じ序盤を繰り返すうちにだれてしまう人がいるだろうし、上記のような成長でなんとか出来る割合は小さいので人を選ぶゲームではある。
【おまけ】
去年個人的にGOTYにしたリターナルと比べるとあちらの方が好みなのだが素晴らしいタイトルだった。
【点数のざっくりした基準】
10:神ゲー(完成度+独創性)
9:良作の一線を超える(オススメ)
8:良作(安定)
7:少々問題はあるが合格点
6:平凡だが十分遊べる
4~5:低クオリティ、バグ大、コンテンツ少
0~3:残念
テーマ:ゲーム - ジャンル:ゲーム
- 2022/03/01(火) 21:33:02|
- └PCゲーム
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