【評価 /10】
7点
【○】
-ソウルハッカーズシリーズ復活の挑戦は…ギリギリ合格ラインデビルサマナー、ソウルハッカーズシリーズからペルソナファン獲得への路線変更、
従来の戦闘システムや悪魔会話システムなど様々なポイントを変更したチャレンジングな作品。
真女神転生、ペルソナを継ぐ…という謡い文句の本作。
「え?デビルサマナーじゃないの?」と古参のファンだと思ってしまうわけだが、
新規のファンは意味が分からないと思うので、そこについて整理していこう。
デビルサマナーシリーズとは、真女神転生シリーズから派生した作品で、
真女神転生初代でICBMが落ちなかった「もしもの東京」の延長戦にある世界線が
デビルサマナーシリーズやペルソナシリーズというイメージ。
※ざっくりしたイメージ
新女神転生→核爆弾が落ちて世界崩壊→真女神転生2以降
→核爆弾落ちず無事→デビルサマナーやペルソナ
デビルサマナーは、ニッチな女神転生+ハードボイルドな世界観を強調した色気のある作品だった。
続編「ソウルハッカーズ」でバランスやビジュアル面もまろやかになったが、
従来のファンも納得させながら遊びやすさに改良を加え新規のファンを獲得しにいったようなバランスの良い名作のイメージ。
デビルサマナーが95年、ソウルハッカーズが97年に発売していたのだが、
世紀末を目前にして日本は終末論や、未来はどうなるんだろう…という人々の不安がある情勢の中で
それらのエッセンスを上手に世界観やストーリーに取り込んだ素晴らしい作品。
ペルソナシリーズは1.2は女神転生の色を濃く残しつつも、学園ジュブナイルものになっており、
若い年齢層をターゲットとしたシリーズで、段々と女神転生のとっつきにくい部分を失くして幅広い層に向けて改良した作品。
特にペルソナ3以降はビジュアルもポップになり、結果世界を含めた幅広いRPGファンに訴求する素晴らしいシリーズになっている。
リリースとしては明らかにペルソナシリーズの方が成功している状況というのもあって、
本作はタイトルから「デビルサマナー」という枕が意図的に外れているし、ビジュアルもかなりポップになり、
ペルソナに寄せる事で幅広いファンを取りに行こうという戦略で作られたようなイメージの作品となっている。
それ自体は問題ないというか、ペルソナを筆頭にデビルサバイバーなどアトラスの新しい挑戦の多くは成功している印象なので、
「面白けりゃ何でもいいじゃん」っていうのが個人的結論なのだが、
本作は良い部分もありつつも、新しい挑戦に関しては尖った成功はなく不満な点が目立ってしまった印象。
前置きはかなり長くなってしまったのだが良い点を。
-ビジュアル面キャラクターデザインが一新され、三輪士郎さんの描くキャラクターは非常に魅力的で、
従来のデザインからガラっと変わっているのだが、女神転生の悪魔達と並べても違和感がなく個性的でとても良かった。
-キャラクター現代をテーマにペルソナには出来ないデビルサマナーらしいダークな世界を描いており、
夜の世界、裏社会や日常的に人の生死をやり取りするサマナー達を描かれており、大人のペルソナという感じなっていた。
主要キャラクターがとても良く、特に主人公のリンゴはAIから生まれた存在でありながら、
全く異なる思想の仲間達と触れ合う中で、ドンドン人間臭いキャラクターになっていく様が魅力的で良かった。
物語全体を通して主要キャラクターの過去や気持ちを深く掘り下げていく流れになっており
キャラクター同士が理解し合うのと同じようにプレイヤーも理解が深まり愛着がわいていく仕組みになっている。
メガテンでいうロウカオスニュートラルのヒーローが、途中決裂することなく、
最後までパーティーを組んで絆を深めている感じでそこも個人的に良かった点。
ストーリー、キャラクターについては不満もある。
ストーリー全体が少しスキップ気味な印象があって、主要メンバー以外の鉄仮面、マンゲツ、カブラギなどについても
もっと掘り下げて描いて欲しかったという残念な気持ちがある。
それぞれなぜこの人に気持ちを寄せるのか?って所のドラマが少し足りないので薄くなる。
ディレクターズカットみたいなもので厚みを出したら格段に良くなりそうな気がする。
-平均ラインでは遊べるいろいろ不満はあれど、シビアなバランスの戦闘や悪魔を仲間にして育成合体する遊びなどは同じなので
ある一定の面白さはあるため平均ラインのRPGとして楽しむことはできた。
賛否両論がある本作。結局失敗なの?おもしろくないの?と聞かれると
アトラスの完全新作だと思えば合格ラインでちゃんと遊べる。
だが、デビルサマナーやソウルハッカーズの続編だとかペルソナ5のクオリティを意識すると不満が多いという感じ。
-周回要素周回で楽になり、追加のストーリーなども見れる。
重要な真エンディング的存在は1週目でも見ることが可能。
ストーリースキップも完備しているので周回しやすい作り。
【×】
-様々な挑戦が不発、アトラス作品の高いクオリティハードルを越えられていない。1)アトラスの高いクオリティから比べると…ペルソナを継ぐ…とか言われてしまうと5Rがとんでもない出来栄えだったので、どうしてもハードルが上がってしまう。
本作はビジュアル面はペルソナほどではないし、リソースに関してもマップは使いまわしを感じるような作りになっていて
サブクエストで同じ場所に何度も行かせるのもあって、マップがあんまり作れなかったんだな~というのが直に伝わってきてしまう。
フィールドに仲魔が立っているという仕組みなので、似たようなマップを無駄にうろつかされる形になって相性も悪い。
マップが豊富で凝っていればうろうろしているいろんなシチュエーションでうろついている仲魔が見れてよかったと思う。
DSなどの携帯機で出てたら問題ない範囲だと思うのだが、PS5など最新機で遊ぶと思うとさすがに物足りなさは感じる。
2)バトルシステム真女神転生Ⅲより続く、プレスターンバトルシステムは相手のWEAKをつくと攻撃回数が増えるという仕組みが敵味方にある事で
一瞬でお互いを全滅させられるような非常に緊張感のあるバトルが魅力。
本作ではそのWEAKを突いた後の追加行動がなくなり、WEAKを突くとスタックがたまりその数が多いほど味方の攻撃終了後に「サバト」と呼ばれる全体攻撃が発射され、
ある程度進むとこのサバトに追加で回復や攻撃などの効果も乗るようになる。従来で言えば、ペルソナで敵全員にWEAKを突くと発生する一斉攻撃が近い。その威力がスタックで変化するようなイメージ。
毎ターン事にサバトをスキップするという手間が発生しているので、テンポにも影響を与えている。
一番気になるのはサバトはプレイヤー側だけの特権で相手にはそれがないっていうのはシンプルに遊びが減っている感覚。
サバトの演出はかっこいいし、とんでもない量スタックしてぶっぱする楽しさはあるのだが、
それって従来のプレスターンバトルの総攻撃の部分にプラスアルファするじゃダメなのか?
サバトを取った事で従来のプレスターンの楽しさをトレードオフしたのだが、
「これはこれであり」には一歩足らず、個人的にはバトルの楽しさはマイナスに感じてしまった。
どうせなら振り切ってサバトの追加効果も1個じゃなく大量に選べてメチャクチャ出来るとか
ぷよぷよみたいに相手のサバトスタックと打ち消しあって押し合いをするような遊びも面白かったかもしれない。
また、真Vでも不満を書いたが、レベル差が重視されてしまうバランスがあまり好きではない。
レベル差が開いてもバフをうまくコントロールしたりプレイヤースキルで勝てる真3のピーキーなバランスが好み。
3)悪魔会話悪魔会話が戦闘中不可能になり、フィールドにいる自分の仲魔がランダムで勧誘してくるというものになった。
これによって悪魔の獲得が不安定になり、交渉遊びがなくなって条件を満たしたら100%仲魔になる。
自分より弱い敵から経験値が入りづらい仕組みなので、新しいダンジョンに行くと高確率でレベルが足りないのもストレス。
総合的に見てこれは明らかに改悪な印象。
よくわからない思考の悪魔と交渉し、失敗してアイテムを持っていかれるのも、そんなやつが次合ったら半殺しにしたら命乞いで仲間になるのも面白いのが悪魔会話。
そういう楽しさが極端に簡略化されてしまって遊びがシンプルに減ってしまっている。
フィールドで会う事自体が運だから…を成立させるために致し方なくなのだろうが、そのトレードオフに失敗している感じ。
4)やはり尖った路線を追求して欲しい個人的にデビルサマナーと言えばハードボイルドな空気感、暗い色気のようなものがとても魅力な印象で、
本作はそういう意味では振り切れていない印象があり、それはポップな絵柄だったり、
暗い部分の描き方がまろやかだったりといろんな理由はあるが、
従来のファンにとってデビルサマナーの続編と言われた時に「これは違うな」と感じてしまうのは正直な所。
いろんなゲーム会社がペルソナの偽物を作っているが、うっかりそっちに寄ってしまいかねない。
ストレンジジャーニーのようなニッチを貫いたような方向が個人的には好みで、
ソウルハッカーズ2もペルソナに寄せるのではなく徹底的に別路線を行って欲しかったのが本音。
(それじゃ売れないという事なのだろうけど…)
-DLCこれは個人的にはアトラスにどんどん新しいゲームを作る予算にして欲しいので投資だと思っていて、
限定版も買ったし、DLCも全部買っているのだが、人によっては気になるポイントだと思う。
新規ストーリー、衣装、追加悪魔などが販売されていて、衣装はペルソナや過去作のものがあり戦闘曲やリザルト曲も変化するのでかなり満足度が高い。気になるのはストーリーや悪魔の追加で、世の中完全版商法!とか言っちゃう人もいるので理解したうえで買う必要はある。
単体で売っても儲けが少ないニッチなタイトルだからこういう形をとっているんだと思うし、自分の好きなRPGがもうあれから出てないんだよな・・・なんて人もゲームファンには多いはず。好きって声は多いけど、売れなくて…ってタイトルはゲーム会社も商売なので消えていくのは当たり前。個人的信条ではちゃんとお金を払って応援して今後も作品を出して欲しいと思っている。
【点数のざっくりした基準】
10:神ゲー(完成度+独創性)
9:良作の一線を超える(オススメ)
8:良作(安定)
7:少々問題はあるが合格点
6:平凡だが十分遊べる
4~5:低クオリティ、バグ大、コンテンツ少
0~3:残念
テーマ:ゲーム - ジャンル:ゲーム
- 2022/09/12(月) 15:59:23|
- ├PlayStation 5
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