【評価 /10】
8点
【評価のざっくりした基準】
10:神ゲー
9:良作の一線を超える
8:良作
6~7:問題はあるが魅力がありオススメ
4~5:不満が多いので人を選ぶ
0~3:残念
【良い点】
幅広い人が楽しめるアクションRPGの新しい定義
現在世界でナンバーワンのMMORPGに君臨している『新生ファイナルファンタジー14』を運営しているスタッフが平行開発したファイナルファンタジー7年ぶりのナンバリング作品。キングダムハーツのスタッフや、ニーアオートマタのプラチナゲームズも開発に協力したことで話題になっていた。
自分は現役でFF14をプレイしている人間なので、吉田直樹氏を始めとする第三開発事業部の事を個人的に心から信頼かつ尊敬していたので、正直彼らが作るファイナルファンタジーなら絵作り、シナリオ、音楽、すべてにおいて間違いないと何の心配もしていなかったのた。いまや多くのゲーム会社がマネしているPLL(プロデューサーライブレター)という形でユーザーとの距離を縮めて一緒にゲームを作っていく雰囲気を重視していて、一人よがりなゲームを作る人達ではなく、誰に届けるのか?という狙ったターゲットに向かって狙って成功するゲームを作ることが出来る人達という印象。
では、本作はファイナルファンタジーナンバリングという看板を背負って開発した事でどうだったのか?
より一層彼らのバランス感覚の良さと、FFの看板を背負う苦悩も垣間見えた作品だった。
本作は明確にライトユーザーを置き去りにしないというコンセプトと「シナリオドリブン」という言葉をインタビューで発している通り一貫したシナリオに軸を置いた作品になっており、その他の要素を簡略化するなどしているのが特徴。これが良し悪し好みが分かれる部分がある賛否両論の作品になっていると思う。
どういう人にオススメか?と言えば、ファイナルファンタジーならば!と久しぶりにPS5ごと買ってゲームを遊んだ人達をメインターゲットにしているゲームで「アクションじゃ難しいかも…」と尻込みしている人は全く心配する必要がなく、誰でも遊びやすいオススメ出来る作品になっていると思う。
では、どういう人が否定的な意見にカテゴリされるかと言えば、ゲームをやり慣れている人、ハードなゲーマーやもっと遊びを求めている人にとっては物足りない部分が多くあるゲームと言えると思う。ファイナルファンタジーは過去作品もシナリオがメインの1、4、9や、システムがメインの3、5、12など、方向性が分かれていると思うがFF16は確実にシナリオドリブンという通り前者よりになっている印象。以下細かく話していく。
とはいえフロム信者の自分は戦闘はとても面白かったし、
大きな話で今後ゲームの難易度を語る上での基準としてFF16は名前が頻繁に挙がるタイトルになるのではないか?と思っている。バトルの操作性に関しては完璧というレベル。デビルメイクライの鈴木良太さんが参加しているということからどんな本格アクションになるんだ?と少々恐れていたがなんのその、そこは吉田さんがしっかり手綱を握っていてカジュアルな遊びやすさを重視していた。
簡単な操作や難易度だが、かっこよく操作をしている感覚を与える演出や上達感を感じさせる仕組みを丁寧に積み上げて構成されている。良い仕組みとして、FF11以来のマジックバーストという攻撃の合間に魔法ボタンを挟むことでより火力が出る仕組みがあるのだが、やらなきゃいけないというほどではなくプレイヤーがなんとなくうまくやっていると感じさせる素晴らしい仕組みでアクションが単調に感じず楽しむことが出来る。
回避についてもSEKIROのようにこの場合はジャンプじゃなきゃダメみたいのもほとんどなく、すべての攻撃に回避をタイミングよく合わせておけばお手軽にアドバンテージが取れるもので、今年出たウォーロンが頭をよぎるのだが、より遊びやすくしたような印象。バランスについても被弾しても死にゲーのようなバランスではなく回復アイテムを使う事で無理しなければほとんど死ぬことがない。
雑魚戦は無駄に堅くて退屈な時があるが、ボス戦はほぼ全て遊びが異なっていてかなりボリューミーで面白かった。
「そもそもFFでアクションしたくねーんだよ」そんなお客様。問題ございません。
FF16ならではというところで、本作はイージーノーマルというような難易度が存在せずに、アクセサリーの着脱を細かく調整することでアクションを簡易化する仕組みが素晴らしいと思った。ボタン一つ連打で魅せプレイしてくれたり、回避を勝手にしてくれたり、ポーションをピンチで飲んでくれたりと細かく調整できる。上手いプレイヤーも装備を調整して楽が出来るのでだるいときは回避はお任せなんてプレイも出来る。「それイージーで良くない?」と思うだろうが、負けたときにお前下手だからイージーにする?といわれるの不快じゃない?という感性が素晴らしいなと。デビルメイクライのような頑張って勝ったのに評価Eって言われる部分も排除していてそういうゲーマーの心理やプレイ度を考慮しているあたり、プレイヤーとしてゲームをやっている人間らしい発想で素晴らしいバランス感だなと感心した。
逆にクリア後にファイナルファンタジーチャレンジというやりこみ要素や寄り道でリスキーモブという強力な敵を戦うチャレンジなどもある。
繰り返しになるが、それほど難しいコンボやアクションが出来ないと勝てないというゲームではないので、あくまでプレイヤーが高度なコンボを決めるのは趣味の領域になっていて、適当操作でド派手な大技をぶっぱなしながら自己満足でコンボを決めて楽しむことが出来るハードルの低さはお手軽で良い。これは今回のターゲットを思うと大正解だと思う。
FF16の戦闘は幅広い範囲の人を楽しませる絶妙なデザインで特質して良かった。演出の数々
召喚獣戦をはじめとするバトル演出は最高!これぞFFという感じのJRPG最高峰のグラフィックとド派手な演出に胸躍る。
戦闘中のバトルエフェクトも簡単な操作でド派手な演出を楽しめるようなものでアクションバトルにマッチしていて素晴らしい。
ムービーや会話シーンでは表情豊かに演出され感情表現の細かさに驚き圧倒される。
ドラマをより引き立てる事に成功していた。もはや映画がという例えではなくそのままの意味になっている。
祖堅さんの作るBGMもFF14同様に素晴らしく、今回画面に映るシーンにあわせて音楽が鳴るというAI?か何かで演出する仕組みが入っていたそうで人によって音楽が入るタイミングなどが異なっていたそうだが(謎技術)とにかくどのシーンも音楽がマッチしていて素晴らしかった。サントラも即購入。
【不満点】
前半のテンポ
前廣和豊さんのシナリオは大好きでFF14では涙を流すほどに胸を打たれて忘れられないようなシーンやセリフがたくさんある。本作16はどうか?いわれるとキャラクターは良かったと思うし、良いシーンもあるのだが、全体の構成や与えるテンポの悪さを感じて個人的にマイナスが大きかったように思う。
特に前半のゲームテンポの遅さ。
アクションの拡張も含めて序盤が本当に緩やかで、シナリオドリブンの影響もあるが、具体的には10時間くらいアクションも増えて行かないし話もだらっとしていてサブクエも世界の差別話ばかりで退屈な時間が長い。だが、ある程度進めていくとサブクエストにキャラクター一人一人を深く落とし込むような表現もあって特に終盤畳みかけるようにそれが詰め込まれているのだが、もっとバランスよくこれを構成できれば印象が違ったかもと感じた。このゲームは深くやっていくほど世界やキャラ好きになっていくし、面白くなっていくので前半で折れた人はぜひもう少し頑張ってやってみて欲しい。
ちなみに自分が好きなキャラはガブ、バイロンおじさん、トルガルなどサブキャラが多い。
フィールドの探索や成長収集などRPGらしい遊びが薄い
ジョブ、マテリア、装備というような育成や収集に関わる要素が本作はかなり簡略化されている。
武器、防具に特殊効果がなくステータスのみ。アクセサリーに特殊効果がついていてこちらにはビルド的要素があるのだが、こちらはマニアックな内容でそんなに細かく入れ替えるようなものではない。バーサーカーリングというつけるだけで回避がド派手になるアクセがあるのだがこういうのはもっと増やして欲しかった。
今回オープンワールドではない。その代わり密度が濃いマップなのか?というと全然そんなことはない。でかいマップに遊びがあまりないわりにファストトラベルがでかく刻まれていて無意味な移動というと聞こえがが悪いが景色を見るくらいしか楽しみがない移動が多い。道なりにシナリオや濃いドラマが展開するとか、ダンジョンを見つけてそこに強い装備があった!とかこの装備を手に入れたからこの素材を集めて装備を作成してシナジーを発生させよう!とかもう少しRPGらしい遊びが欲しい。
コンセプトが対極だと思うのでしょうがないのだが、最近ティアキンやディアブロというストーリーより遊びを重視するゲームをさんざんやっているので余計に感じてしまった。
オリジナリティ
FFらしさとは何か?FFとは毎回形を変えるもので、「新しい挑戦をする事がFFである」ともいえるのだが、じゃあFF16って新しい大きな挑戦を実現したのか?と言えば、良い点で言った通りプレイヤーの幅を広げるという点での施策は新しい。総じて合格点は確実に超えている作品なのだが、15の延長にあるものという感覚もしているのでそこもはっきりそうだ!と言い切れない感覚。
多くの人を取りに行った事で、FF3のジョブ、FF12ガンビット、FF13オプティマ、尖ったオリジナリティみたいな部分での大きなチャレンジはしていないが、先ほど言った通り多くのユーザーを取りに行くアクションの基準は作ったと思う。
斬新さを目指さないという判断をしなかった結果なので彼らは何も間違っていないが、世の中でみればFF7Rのウェイトアクションのが個性的になっていてFF16の方がむしろ汎用的になったとも言える。新しいものを生み出せる開発チームだと思うので今後が楽しみ。
テーマ:ゲーム - ジャンル:ゲーム
- 2023/07/21(金) 21:52:14|
- ├PlayStation 5
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